マクロファージ活性化療法

眠っている免疫細胞(マクロファージ)を活性化する治療法・マクロファージ活性化療法(2nd GcMAF)についてご紹介します。

マクロファージ(大食細胞・貪食細胞)とは

1. NK細胞の働き

がん細胞・ウイルス・細菌を貪食、消化する細胞である。
つまり、<NK細胞の働き>をします。

マクロファージは血液中の白血球の5 %を占める単球(単核白血球)から分化する。免疫細胞の中心を担うアメーバ状の細胞で、生体内に侵入した細菌・ウイルス、また異物(がん細胞)をも貪食し消化する。

マクロファージには2種類の分化があり、免疫を活性化するM1マクロファージと免疫を抑制するM2マクロファージと区別されてきた。
しかしながら最近では、古典的活性化マクロファージ、創傷治癒マクロファージ、抑制制マクロファージあるいはその中間的な活性化状態が存在すると考えられており、マクロファージの活性化の多様性は明らかでない。

この活性化したマクロファージの重要な働きは未だ十分理解されておらず、近年エイズ、乳がん、大腸がん、前立腺がんの完全治癒例が報告されており、活性化マクロファージに対する評価、認識が一変される可能性が出てきた。
活性化マクロファージががん細胞を傷害する過程には

[1]活性化マクロファージががん細胞と直接結合する場合

[2]活性化マクロファージがある化学物質(例えば過酸化水素)を遊離・放出してがん細胞を傷害する場合の二つがある。

2.樹状細胞の働き

貪食したがん細胞・ウイルス・細菌の抗原提示をヘルパーT細胞、Bリンパ球に行う。
つまり<樹状細胞の働き>もします。

マクロファージは抗原を摂取すると、各種のサイトカインを放出し、特定のT細胞を活性化させる。マクロファージは、食作用によって取り込み、分解した異物をいくつかの断片にし、もともと細胞内に持っていたクラスII MHC (MHC-II) と結合させ、細胞表面に表出させる。これをマクロファージによる抗原提示と呼ぶ。

▲マクロファージ(紫)が癌細胞を食べているところ

3.血管新生抑制作用

動物実験により、2nd GcMAF(ジーシーマフ)にんの血管新生抑制作用があること確認されている。

マクロファージによる食作用の経過

a. 貪食された異物が食胞(ファゴソーム)に取り込まれる
b. 食胞はリソソームと融合しファゴリソソームを形成、異物は酵素により破壊される
c. 残渣は細胞外に排出される(あるいは消化される)
1. 異物(病原体)、2. 食胞3. リソソーム、4. 残渣、5. 細胞質、6. 細胞膜

マクロファージによる抗原提示のシグナルは、T細胞の中でもヘルパーT細胞と呼ばれるリンパ球に伝達される。ヘルパーT細胞の表面には、CD4というヘルパーT細胞特有の表面タンパク質と、T細胞受容体(TCR, T-cell receptor)と呼ばれる受容体タンパク質が存在しており、それぞれがマクロファージのMHC-IIと、マクロファージによって提示された抗原と結合することによって、ヘルパーT細胞が活性化される。T細胞受容体の構造はそのヘルパーT細胞ごとに異なっており、マクロファージによって提示された抗原断片とぴったり合う受容体を持つヘルパーT細胞だけが活性化される。

活性化したヘルパーT細胞は、インターロイキンやリンフォカイン等のホルモン様物質(サイトカイン)を生産することでマクロファージを活性化するとともに、自分が認識するものと同じ抗原を認識するB細胞を活性化させる。活性化したB細胞は抗体産生細胞に分化して増殖し、抗原に対応する抗体を作成し、放出する。抗体は抗原に特異的に結合し抗体-抗原複合体を作る。マクロファージはこの抗体-抗原複合体に引きつけられ、そしてこの複合体を貪食する。抗体の結合した細菌やウイルスはマクロファージにとって非常に能率よく食すことができるものとなる。この際T細胞はリンフォカインを放出するなどしてマクロファージを活性化したり、B細胞の増殖、分化を助ける。

したがって、マクロファージ活性化療法とは、本来人間に備わった免疫システムを最大限に活性化する療法である。
しかも、NK細胞療法+樹状細胞療法、両方の働きを兼ね備える治療法といえる。

2nd GcMAF(ジーシーマフ)とは

  1. 眠っている免疫細胞(マクロファージ)を活性化する史上最強の物質
  2. Gcプロテインは最も重要なマクロファージ活性化因子の前駆物質である。
    Gcプロテインはがん細胞あるいはエイズウイルスに感染したリンパ球が分泌する酵素Nagalaseにより一部切断され、マクロファージ活性化因子に転換されない。その結果としてマクロファージが眠ったままになり、強い免疫抑制状態につながる。この眠ったマクロファージを活性化する史上最強の物質が2nd GcMAFである。特に、がん・エイズという病気では完全な免疫不全の状態であり、マクロファージも眠らされており、何の役割も果たしていない。
  3. 新鮮な患者様ご自身の血液よりGcプロテインを取り出し、CPC(細胞培養センター)で特殊なシステムで処理をしながら、最強の2nd GcMAFを製造し、注射する。そして免疫のスイッチをオンにする。これがマクロファージ活性化療法である。

対象疾患

  • マクロファージ活性化療法は、がん・B型肝炎・C型肝炎・ヘルペス・インフルエンザ・肺炎・結核・EBウイルス感染症等多くの疾患に有効である。
  • 副作用は非常に少なく、きわめてまれな発熱・湿疹がヨーロッパで報告されている。
◎ 他の治療法との併用
  • 少量のステロイドは可能である。
  • 超音波ダイナミック治療との併用はがんの局所破壊と全身免疫療法の相乗効果が期待できる。
  • 抗がん剤との併用は可能である。免疫複合療法(温熱療法・低用量ナルトレキソン・αリポ酸・高濃度ビタミンCあるいはコーリーワクチン)の併用も可能である。
  • 最低5,000 IUのビタミンDサプリメントの併用が望まれる。なぜなら約80 %のがん患者さん、またエイズ患者さんの血中ビタミンDは不足している。 そして2nd GcMAFがフルに働くためには正常のビタミンDレベルが必要である。
平成25年12月7日に福岡大学で行われた第17回日本バイオ治療法研究会 学術集会で、当院と共同研究を進めている徳島大学大学院ソシオテクノサイエンス研究部 宇都義浩准教授と当院の乾利夫院長が「マクロファージ活性化療法(2nd GcMAF)、超音波ダイナミック療法およびホルモン療法での乳癌の治療」について発表いたしました。
宇都教授 発表資料
乾理事長 発表資料(英語)

治療の流れ

  1. 血液採取
  2. マクロファージ活性因子の原則3~7回/週の皮下注射

論文

マクロファージ活性化療法に関連した論文をご覧ください
血清中2nd GcMAFの安定
2nd GcMAF含有ヒト血清は、癌免疫療法のための潜在的なマクロファージ活性化剤として使用できることを実証した論文
2nd GcMAFと統合癌免疫療法の臨床経験

主なリスクと副作用など

主なリスクと副作用:副作用は非常に少なく、極めて稀な発熱・湿疹がヨーロッパで報告されています。

その他重要事項:当該製品は未承認医薬品です。患者様の血清を使用しCPCで製造しております。また国内において承認医薬品はありません。
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